オリーブの歴史から見る世界のオリーブオイル事情
健康的で美味しい地中海料理にたくさん使われているオリーブオイル。現在は地中海沿岸地域だけでなく、世界中で親しまれています。オリーブオイルの元であるオリーブの起源は小アジアですが、そこからどうやって世界中に広まっていったのでしょうか。今回はオリーブの歴史を紐解きながら、世界のオリーブオイル事情について見ていきましょう。
目次
1.オリーブのふるさと地中海沿岸地方
2.大航海時代に世界へ広がったオリーブ
3.日本でのオリーブ栽培
1.オリーブのふるさと地中海沿岸地方
オリーブは小アジアが原産で、最古のオリーブのタネは死海のほとりにあるテレイラト・ガッスルという約5500年前の古代遺跡から発見されました。文明の始まりの時代から、オリーブは人間とともにあったのですね。やがてオリーブはイラン高原へ、またシリアやパレスチナ周辺の地中海沿岸へと広がり、ヨーロッパやアフリカの地中海沿岸にも広がっていったと考えられています。
オリーブを地中海に広めたのは通商や航海術に長けたフェニキア人で、紀元前16世紀にはギリシャの島々でオリーブ栽培がはじめられ、その後ギリシャ本土でもオリーブの栽培が行われるようになりました。紀元前4世紀ごろにはすでにオリーブ栽培に関する法律もでき、オリーブはギリシャやイタリアなどの地中海沿岸の地域を代表する作物になりました。
現在はスペインが世界一のオリーブオイル生産国です。国土になだらかな起伏と平坦な土地が多いため、大規模集約的栽培法で大量に生産することができるのです。
イタリアは世界第2位のオリーブオイル生産国であり、オリーブの品種の多様性は世界一です。世界には1300以上ものオリーブがありますが、そのうちおよそ600品種がイタリアに分布しています。
ギリシャは一人あたりの年間オリーブオイル消費量が世界一です。温暖な気候となだらかで低い丘に恵まれ、古来よりオリーブ栽培が盛んでした。
他にもモロッコやトルコ、ポルトガルなどの地中海沿岸地域でもオリーブオイルの生産が盛んに行われています。
2.大航海時代に世界へ広がったオリーブ
オリーブが世界へと広がったのは、人類が航海術を持って世界へと冒険の旅に出るようになった大航海時代のことです。ポルトガルやスペインがアフリカやアジアを渡ると同時に、オリーブもその地にもたらされました。アメリカ大陸に広まったのは、コロンブスが新大陸を発見しヨーロッパからの移民がさかんに行われるようになってからです。
現在アメリカは健康志向の高まりも相まって世界最大のオリーブオイル輸入国になっています。アメリカ国内では東海岸のカリフォルニア周辺が主な生産地となっています。他にも南米のチリやオーストラリアでもオリーブ栽培が行われています。
3.日本でのオリーブ栽培
日本にオリーブが入ってきたのは安土桃山時代で、日本人でオリーブの実を初めて食べたのは、豊臣秀吉だと言われています。文禄3年(1593年)にオリーブの実1樽が献上されたという記録が残っています。
その後、明治時代に香川県の小豆島で成功したオリーブ栽培が盛んに行われるようになりました。現在は小豆島に近い瀬戸内地域、九州の沿岸地域、本州の太平洋側などに生産地が広がり、各地の生産者が品質を重視したオリーブ栽培やオリーブオイル作りに励んでいます。
古くから人類とともにあったオリーブはこのようにして世界に広がっていき、今ではその実やオイルが世界中の人々に親しまれるようになったのですね。はるか昔から続くオリーブの歴史に想いを馳せながら、目の前にあるオリーブオイルを楽しんでみてはいかがでしょうか。